サガリの良いところ!

すべての牛サガリ愛好家達に正面から挑んでいくとしたら、
試合開始のゴングが鳴る瞬間にここのサガリをぶち込んでいこうと思う。

立体的に大振りにカットされたその姿は、どの高層ビルよりもバランスが良く設計されたに違いないと思わせる構造になっている。
所々に見せて来る曲線が美しく、見た目のインパクトといえば誰も右に出てこようとはしない。

この堂々とした態度にただ口をあんぐり開けているわけにはいかないのが、一人焼肉の良いところだ。
半年ぶりくらいに来たここは手稲の焼きどころ
焼肉さんじさんだ。
ランチタイムに時間を割くことができた歓喜はひた隠しにして来店したものだ。
普段は来れない時間帯なのだ。間違いなくこれは、嬉しい感情なのである。

ここではすぐ隣に設置されている近未来肉掴み棒を大胆に行使し、生きていく事への執着と欲を爆発させていく。
強火に熱した鉄の塊にゆっくり押し付けていく。
側面から見ているこの瞬間こそが、決して回らない宝石のメリーゴーランドなのだ。
何度も動かしてはいけない、黙って待つことも一つの楽しみだという事を忘れてはいけない。
焦りはこの鉄の機嫌を損ねることがあるからだ。

この瞬間を待ちわびていた
咀嚼するたびに旨みが頭蓋骨に響く。
口の中に広がる夢の空間をただひたすらに低空飛行を続けてみせたこの物体は、
食道を思い切り殴りつけたあと、キュルキュルと音を立てていた胃袋を叩きつけるように着地していく。
十二指腸がサイレンを鳴らし腹がいっぱいになる頃、ここでようやく正気に戻るものだ。

これ以上にうま味の入り込む隙のないものはないのだ。

美味しい肉を食べるのも、
仮説に仮説を重ねるという楽しみを味わうのも
まずはさんじさんでサガリを一皿、注文してからの話しだ。
是非におすすめしたいのだ。

その他のお肉もおいしいよ。
押忍!